素材から提案する「木のある暮らし」。

奈良県との県境にある南河内郡太子町は、推古天皇陵や聖徳太子墓など大小さまざまな古墳がある歴史の町です。そんな町の一角に、錆色のトタン壁がレトロな風情を醸す製材所があります。 ここは、明治時代から続く老舗の製材所・田中製材所。兄で社長の田中由虎さんと、 弟の良平さんが兄弟で営んでいます。

田中製材所

弟の良平さん(左)と兄の由虎さん(右)

田中製材所の歴史は古く、創業は明治30年。原木の切り出しや丸太の製材加工からスタートし、公官庁や学校などへ木材を提供するなど安定した経営を続けていました。昭和 40 年代の木材需要の最盛期には、直接お客さんが製材所へ買い付けに訪れることもあったそうです。
その後、社会環境の変化に伴い木材需要が低下していく中で、いかに生き残るかを模索してきました。現在は、造作材のセレクトショップや塗料販売、床リノベー ションなど、製材というジャンルにとらわられない事業も手掛けています。

田中製材所

お二人に製材所内を案内してもらいながら、普段の仕事について伺いました。 「木の個性を見て何に使うか決めたり、あまった材を別の目的で使ったり、工夫しながら製材してます」と良平さん。そもそも製材とは、丸太や原木を加工し寸法を調整して製品にすることを言いま す。木は生き物でなので、その個性や特性に合わせた加工が必要になります。また、 使用目的(柱、床材、壁材、etc...)によっても取り扱いが変わってくるのです。大量に仕入れ規格に合せて一斉に加工する大手製材所のようなスタイルではあり ませんが、ニーズに合せた細かい対応ができるのが、田中製材所の強みだそうです。

田中製材所

製材所の中央に鎮座しているこの機械。なんだかわかりますか?実はこれが、木を木材にするための製材機。通称「台車」です。正確な年数は不明ですが、おそらく製造 60 年は経過しているとのこと。昭和、平成、令和と、激動の時代を乗り越えてきたものが持つ年季の入った佇まいですね。台車部分に丸太をのせ、角度や幅を調整し、高速で回転する帯鋸に向けて押し出して、切削加工を行っていきます。

田中製材所

柱材の加工を見学しましたが、製材機での作業は迫力満点です。木の微妙な反りや幹の形を見ながら微調整を繰り返し、慎重に鋸を入れて行きます。良平さんがスイッチを入れ台車を滑らせると、木がサーッと切れて行きます。切れた部分を受け取るのは兄の由虎さん。角度を変えて何度も鋸を入れていくと、丸太だった木が見るまに「木材」に変っていきました。普段私たちが目にする木材は、平らで真っすぐなのが当たり前です。しかし、当然そこには人の手が介在していて、彼らの木に対する知識や加工の技術があるからこそ、それが実現しているのだということを改めて実感しました。

田中製材所

田中製材所が主に扱う無垢材は、呼吸もすれば手入れに手間も時間もかかる素材です。しかし、それを補って余りある魅力や存在感があって、いかにそれを伝え、暮らしの中で活かすのかを提案することが、私たちの仕事なのです。「ウチは、カタログのない素材屋です」とお二人。もっと自由に、例えば服を着替えるように自分にぴったりの木を選ぶ、そんな価値観を世の中に提供していきたい、そう彼らは考えています。

田中製材所

これからの「木のゆくさき」を
求めて。

「昔は製材所と消費者って、とっても近い関係やったんです」と由虎さん。燃料である薪を介してコミュニケーションをする中で、家や家具などについて相談を受けることが日常的なことだったのです。時代が変わり、製材所と消費者が直接コンタクトをすることが減りました。今では木材はホームセンターで買うのが主流です。そんな風潮に風穴を空けていきたいと、由虎さんは考えています。

田中製材所

デザイナーやアーティストたちが活動する工房

そんな由虎さんの想いを反映してか、製材所内には家具デザイナーや木材を扱うアーティストたちが作業をする工房がありました。製材の仕事を手伝ってもらいながら、制作活動の場を提供する...そんな関係性から新たなコラボレーションが生まれたり、今までに無かった付加価値が生まれたりしているそうです。

田中製材所

製材所の2階には木を使ったアート作品の展示も

最後に、今後の展望を伺ったところ「植林、伐採、製材...といったパーツで考えるのではなく、山全体を活かした取り組みをしていきたい」とお二人。自分たちが専門で扱う「木材」という媒体を通じて、業種やジャンルの壁を超え、山そのものを人生の学びのステージにする...そんな世界観を創造したいという夢を語ってくれました。

田中製材所

大信製材も開発に関わった、風倒木を活用した「OSAKA Pencil-tugumi-」

現代の生活スタイルや個人の嗜好に合せた「木のある暮らし」の提案。そして、 ボーダーレスな協業による先進的な取り組み。そんな二人の熱い思いや行いに、 私たち大信製材も大いに共感しています。愛着をもって大切にすれば一生付き合っていける「木材」。同志として、彼ら とともに新たな価値を世の中に提供していきます。

有限会社 田中製材所 タリモール
大阪府南河内郡太子町山田 2880
https://tanakayoshi.co.jp/

大信製材にフローリングの悩みを相談

フローリング選びのお悩みなど
LINEで気軽にご相談ください。

LINEで相談する