500年の歴史を誇る「吉野林業」を担う。

日本の木材の中で最も有名なブランドのひとつである吉野杉・吉野桧(以降吉野材)。節が少なく光沢があり、まっすぐで細かい木目が特徴で、古くから高級材として扱われてきました。

吉野林業の歴史は長く、その始まりは室町時代まで遡ります。かの豊臣秀吉が吉野地域を支配した際、大阪城や伏見城などの建材を得るため天然林を伐採しました。その後、天然林があった場所に植林が行われ、現在まで約500年もの間受け継がれてきました。

吉野中央木材

密植・間伐・枝打ちなど、独特の植林法が生み出す美しい木目

そんな吉野で、昭和初期から製材業を営んでいるのが吉野中央木材です。この日は、専務の石橋輝一さんに製材所内を案内してもらいました。

吉野中央木材

吉野中央木材は、吉野川沿いにある製材団地・吉野貯木場の中にあります。昭和14年に完成したここは、吉野材の一大生産拠点。かつては国鉄の線路も引き込まれ、昭和の初期にもかかわらず東京まで木材を直送することができたそうです。

吉野中央木材

「もとは原木丸太の切り出しや樽丸(日本酒を運ぶ樽)板の卸しを稼業にしていたんです」と石橋さん。その昔、吉野川の上流で切り出された木材は、いかだに組まれ川を使って下流に運ばれていました。当時は売買の決定権がなかったため、吉野独自で売買できるように、と誕生したのが吉野貯木場なのです。

そんな吉野貯木場の中でも、吉野中央木材は開設当初からの老舗企業。世界恐慌や業界構造の変化など時代の荒波を経験した現在は、主に顧客のオーダーにそったカスタム材の提供をしています。原木の買い付けから選別、皮むき、一次製材、乾燥、在庫管理、二次製材や仕上げ加工までを、ワンストップで行います。

吉野中央木材

製材所内では、この道数十年というベテラン職人たちが腕を振るう

「木は適材適所」という石橋さん。ただ注文通りのサイズの木材を切り出すのではなく、どの部分に使うのか?なんの目的で使うのか?その用途を把握してから製材するのがとても大切だといいます。

一軒の家を建てるためにかけられるお金は一緒だとしても、木の特徴を把握し、どのように製材するか、家のどの部分にどの材を充てるのかを考えることで、最適な提案をすることができるのだそうです。

吉野中央木材

帯鋸の歯を調整する「目立て場」。製材所内に併設されているのは珍しいそう

「木の内側は見えないからこそ、経験値や場数が大事なんです」。そう語る石橋さんの口調には、数々の木材を見立て、製材し、実績を積み重ねてきた誇りが垣間見えました。

吉野林業のこれからを見据えた取り組み。

吉野中央木材

そんな石橋さんですが、以前は東京や大阪で、全く別業種で働いていたといいます。吉野に戻ってきたのは2007年頃で、当時は木のことを全く知らなかったのだそう。

「素人目線のいまだからこそ、伝えられることがあるはず」と、ブログでの情報発信をスタート。ユーザー目線で読みやすいと評判を呼び一躍人気ブログに。「発信することで注目が集まり、問合せも増えました」と石橋さん。現在は、その知識や経験を若手社員に引き継ぐべく、日々指導に汗を流しています。

吉野中央木材

いつしか吉野材の第一人者として知られるようになった石橋さん。ここ数年は、吉野町や企業などとコラボし、吉野材のブランド向上のための企画に取り組んできました。

吉野町の小・中学校では、子どもたちが9年間使用する学習机を吉野材で自作する「愛・学習机プロジェクト」を実施。この取り組みは今年で10年目を迎えます。

また、建築家の長谷川豪氏、民泊大手のAirbnb、吉野町と協働し「吉野杉の家」の建築・運営にも携わりました。吉野杉の家は、地域のホストとゲストが交流を楽しめるコミュニティハウスで、国内外の建築ファンから熱い注目を浴びています。

吉野中央木材

吉野の酒蔵「美吉野醸造」とのコラボでは、吉野杉の木桶や木樽で昔ながらの製法の日本酒を醸しています。

吉野杉は年輪が細かく層も多いため、水漏れに強く日本酒造りには最適な素材。江戸時代には吉野杉の木樽に入れられた日本酒が船で江戸まで運ばれていました。木桶で仕込んだ日本酒は杉の香りが移り上品な味わいです。

木桶や木樽を作れるような大きな木を育てるには、100年近くの年月が必要なのだそう。親や先祖が残してくれたものを次の世代に継承していくため、100年後の未来を見据えた植林のイベントも企画しています。

吉野中央木材

美吉野醸造の社長・橋本さん(左)。石橋さんとは幼稚園からの幼馴染

「小さな取り組みをこつこつと積み重ね主体的に行動することが、大きな流れに繋がっていく。林業を地域で支えて行くために、未来に向けて皆で協力していきたいですね」と石橋さん。今後も若手や他業種の人たちを巻き込み、さらに「吉野材」が世間に認知されるような企画を実施してくれるでしょう。

吉野中央木材

500年という長きにわたり受け継がれてきた吉野林業。良質な材を作り続けてきた林業家や製材事業者たちの気が遠くなるような知恵と努力には、本当に頭が下がります。

吉野というブランド材の中でも、日々顧客のニーズに応えつつ、吉野の未来も見据え行動する石橋さんが選ぶものこそが、大信製材が皆さんに届けたい材なのです。

長い歴史に培われた伝統を受け継ぎ、次世代につないでいく石橋さんと手を携え、新しい価値を世の中に提供してまいります。

吉野中央木材株式会社
奈良県吉野郡吉野町橋屋57
http://homarewood.co.jp/

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